だらだらブログ

なんかゴミです。

【だら草051】モダン版スパイについて

 アドグレイスについての記事を書こう書こうと考えていたら、あっという間に『ゼンディカーの夜明け』が発売して環境が変わってしまった。

 さてそんな中で今回は、先日のモダンチャレンジで準優勝という成績を残すことができたモダン版スパイについて、基本はkanisterのレシピでほぼ完成してはいたものの自分なりの微調整を施した部分について、時期が旬のうちに解説しておこうと思う。

■ 1. マナベース

 私がkanisterのリストから最も多くの変更を加えた部分は、実はマナベースである。

 kanisterは黒タップインだけ2枚採用しているものの、その他はテンポロスを嫌ってアンタップインを優先している。しかしその結果、黒マナが14枚とかなりギリギリの枚数になってしまっていた。相手が慣れているなら《五元のプリズム》や《反発のタリスマン》は《否定の力》で消されうるため、土地として置ける黒マナは余裕を持って確保しておきたいところである。

 したがって私は黒タップインを5枚まで増量し、黒マナの総数を16枚まで増やした。もともとこのデッキは1ターン目にやることはほとんどない。《思考囲い》を採用しているとそうでもないが、どの道このデッキに《思考囲い》は合っていないと感じたので (理由は自由枠の部分で後述) 、やはりタップインで問題ないと判断した。

 増量した黒タップインの中では、手札破壊として素打ちもできる《ペラッカの捕食》が優先されることについては特に異論はないだろう。

 アンタップインの中で優先的に削られるのは赤神話で、理由は《猿人の指導霊》と一緒に引いたときに《五元のプリズム》にカウンターが2つ乗らないためである。青神話と白神話の枚数については、どちらも色マナとしての使い道はほぼないので、同様に《五元のプリズム》のために色が散りやすいよう3枚ずつの採用とした。

 1枚だけ《絡みつく花面晶体》が入っているのは、《反発のタリスマン》を1枚削っておりサイドに《自然の要求》を採用している関係上、緑マナを気持ちだけ確保しておきたかったからである。うっかり素出しできればマナ加速の代替になりうるので、緑タップインの中では一番まともなカードだろう。

 《反発のタリスマン》が削られているのは、後述の自由枠を作る上で最も優先度が低いカードだったからである。このデッキは3ターン目までに黒含みの4マナを作ることを目標にするわけだが、《猿人の指導霊》も合わせるとブーストが12枚も入っているのは明らかに過剰であり、それもkanisterのリストではマナベースの補正の役割も担っているためフル採用にせざるをえないわけだが、タップイン土地を許容したことで黒マナの枚数に余裕ができているため、1枚削れると判断した。

■ 2. 自由枠

 このデッキのメインボードには、《思考囲い》が入っている部分と抜いた《反発のタリスマン》1枚分で計5枚の自由枠がある。このスロットにどんなカードを採用するべきか。

 私の場合は少し一人回しをした結果、まず少なくとも《思考囲い》ではないという結論に至った。

 3ターン目に発生する4マナはコンボ始動のために全て費消するので、このデッキが自由に使えるマナは1ターン目と2ターン目にしか生まれない。そして1ターン目に《思考囲い》を打てるアンタップインの土地は《アガディームの覚醒》4枚のみでほぼ打てず、2ターン目も《猿人の指導霊》パターンか《反発のタリスマン》を引けているなら余裕があるものの、《五元のプリズム》の場合は3枚目のアンタップイン土地を追加で要求することとなってしまう。このマナの余裕のなさが理由の第1点。

 そして2点目は、現在の環境のトップTierが赤黒果敢シャドウであることからすると、《思考囲い》の2点とそのためにアンタップインするであろう土地の3点、計5点は到底許容できないという部分、すなわちライフの余裕のなさにある。

 さらにこう考えたとき、そもそもこの自由枠にマナがかかるカードを入れたとしても十分には機能しないという解が見えてくる。

 したがってどの道75枚の中には4枚ずつ入れるであろう《否定の契約》か《神聖の力線》かの2択になるわけだが、前述のとおり赤黒果敢シャドウがトップメタであることに鑑み、またデッキの構成上それでなくてもハンデスは土地を抜かれて致命傷になりうるため、《神聖の力線》を優先して採用することにしたわけである。

■ 3. サイドボード

 このデッキのサイドボードを作るにあたっては、コンボ達成が不可能な状況を4パターンほどまずは想定し、それを解決しうるカードを4:4:4:3で入れるというのをスタートラインにした。

 不可能状況のその1はシンプルに《墓掘りの檻》や《安らかなる眠り》などの置き墓地対策を設置される場合で、これは《自然の要求》で事足りる。

 不可能状況のその2は《翻弄する魔道士》や《封じ込める僧侶》などの生き物コンボ対策を設置される場合で、これは《ゴブリンの放火砲》でかわすことができる。

 不可能状況のその3は《マナ漏出》《差し戻し》《謎めいた命令》などのカウンターでしのがれる場合で、これも《否定の契約》で打開できる。

 不可能状況のその4は少し複雑だが、クロック+手札破壊+墓地対策のようにスピードと多角的な妨害を兼ね備えた赤黒果敢シャドウのようなデッキに対し、墓地対策の効かない《ゴブリンの放火砲》を設置できたとしても返しでライフが削りきられてしまう場合を想定し、《仲裁の契約》を採用することにした。が、この用途なら《否定の契約》でも近い役割は果たせるし、いずれにせよ活躍の場面がかなり限られるので、入れるにしても1~2枚程度が妥当だっただろう。

 最後に不可能状況のその5は《浄化の野火》《暗殺者の戦利品》《幽霊街》による土地破壊を受ける場合で、さすがに2ターン目から《露天鉱床》を連打されては勝ちようがないとはいえ、土地を入れられないデッキの構造上回避しようがないとも思われたが、既存のリストでサイドに基本土地を採用しているものがなかったので、1枚だけ入れておけば裏をかけると判断して《山》を採用することにした。

 《山》は《ゴブリンの放火砲》とセットで入れるので、もし土地破壊されなかったとしても《ゴブリンの放火砲》さえ起動できれば8~9枚めくるだけで勝てるのでそう分の悪い賭けにはならないというわけである (ただし土地破壊を受けずにかつスパイしか引けていない場合は自滅するので、そもそも土地破壊を受ける確率が高い相手にしかサイドインしてはいけない)。

 ……と、そんなわけで冒頭のリストができあがったわけである。サイドの《仲裁の契約》の部分は、とりあえず《否定の契約》だけは3枚に増量した方がいいものの、他はしっくりくるものが見当たらないため、皆さんの考える不可能状況に合わせて適切なカードを採用してもらいたい。

 それでは、良いスパイ生活を。

            ◇

 Today's Tune

 Kizuna AI × 花譜「ラブしい」

https://www.youtube.com/watch?v=u4PUwnItinY