だらだらブログ

なんかゴミです。

【だら草052】ヴィンテージのホロウヴァインについて

 QPが余っていたため気まぐれでヴィンテージのShowcase Challengeに出場したところ、幸運にもトップ8に入賞することができた (トップ8に入賞すれば12月のShowcase Qualifierに出場できる)。

 あまり需要はないかもしれないが鉄は熱いうちに打てということで、今回はこのホロウヴァインというデッキについて解説していこうと思う。

■ 1. これってどんなデッキなの?

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 ヴィンテージで《Bazaar of Baghdad》を使用するデッキには大きく分けて3つのアーキタイプがある。ホガークヴァイン (Hogaakvine)発掘 (Dredge)、そしてホロウヴァイン (Hollowvine)の3つだ。

 名前は似ているがホガークヴァインはどちらかといえばフェア寄りの墓地利用アグロで、いわば「急戦に寄せた墓荒らし」といったコンセプトに近いかもしれない。

 これに対し、発掘とホロウヴァインはどちらもマナを使わないアンフェアデッキで、デッキ構成も似ているが、ホロウヴァインの方が妨害に寄せたコントロールという立ち位置である。

 発掘との違いは妨害要素にあり、《陰謀団式療法》を使わない代わりにメインから《誤った指図》《活性の力》まで搭載されている点が特徴的である。

 要はホロウヴァインは、マナを使わないアンフェアデッキでありながらフェアデッキと同等の妨害要素を兼ね備えているデッキなのだ。

 もちろんバザールデッキの例に漏れず初手キープは基本的にバザール引くまでマリガンだし (なので《血清の粉末》も採用されている)、起動するたびにアドバンテージを失うこのカード単体で妨害コントロールが成立するはずもない。

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 しかしそれを無理矢理成立させているのが《ゴブリンの太守スクイー》である。

 このカード1枚で《Bazaar of Baghdad》はデメリットなしの2枚ルーターになり、2枚引けば毎ターンアドバンテージが得られるようになる。

 そのエンジンの形成が実質《Bazaar of Baghdad》のセットランドのみで可能、さらにはカウンターや手札破壊による妨害も不可能というのだから、いかにヴィンテージといえどこのエンジンにメインから対抗するのがかなり難しいということはおわかりになるだろう。

■ 2. デッキ選択の経緯

 とはいえ、私自身このデッキをずっと握っていたというわけではない。というか、MOでヴィンテージの大会に出場したことも片手で数えられるほどしかないはずだ。

 ホロウヴァインを使うのも、実はまだこれで2回目である。1回目は先月9月13日のヴィンテージチャレンジで、最小成立人数が32人のところ毎回40人前後しか参加者が集まっておらず、賞品期待値的にペイしそうだと考えて参加を決意したときのことだった。

 このときに完コピしたのが、MOモダンでは同じネオブランドというデッキを長らく使用していたWingedHussar前日に準優勝していたリストである (彼が起源というわけではなく、調べた限り最も古い記録は2019年11月17日のリーグ5-0のようだった)。

 この日の結果としては、参加する前に一人回しはしていたものの慣れない対人ヴィンテージに死ぬほどプレイミスを重ね、それでもデッキポテンシャルだけで3勝3敗 (含む不戦敗) し、どうにか参加費をペイすることができた。

 そして「オールインも受けもあるアンフェア」というこのデッキのコンセプトにすっかり魅了された私は、不満を感じた点を密かに微調整して再出撃の機会を窺っていたところ、冒頭のShowcase Challenge出場につながった……というわけである。

■ 3. 元のリストから変更を施した点

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 《メムナイト》→《有毒の蘇生》への変更。

 そもそもこのデッキはアグロなオールインではなく、コントロールとしての性質が強いことは先の段落で述べたとおりである。とすると、各種ピッチスペルのコストにならず、手札リソースを費消して《復讐蔦》が戻しやすくなるだけに過ぎない《メムナイト》にどれだけの価値があるだろうか。実際ゲームに寄与した瞬間も少なく、サイドアウト率も圧倒的に高かったため、調整するならこの部分だろうと感じていたところであった。

 代わりに搭載した《有毒の蘇生》は、原始のリストには搭載されていたようだがテンプレートからは抜けていたカードである。そもそもこのカードに目を付けた理由は、サイドボードの《石化した原野》が弱すぎたというのに端を発する。無駄にセットランド回数がかかるので即効性がない上に、《外科的摘出》に対して無抵抗だからだ。

 その点《有毒の蘇生》は「《不毛の大地》耐性」「《外科的摘出》耐性」の2点を同時に満たせるカードというのが大きかった。加えて、1ターンの価値が高いヴィンテージでは「相手の墓地の不要そうなカードをトップに乗せて相手のドローを止める」ことも現実的なテクニックとなる。さらに「《活性の力》で追放できる」となれば文句の付けようもない。

 そうなるとバザールデッキ同型はメインから《Bazaar of Baghdad》を《不毛の大地》されるということもあり、メインから搭載しない理由がなかった。もともと0マナでできる行動などそう選択肢が多くはない中で、これだけ多様な干渉を可能にするカードは非常に貴重と言える。

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 《ガイアの揺籃の地》→《甦る死滅都市、ホガーク》への変更。

 そもそもこのデッキの《ガイアの揺籃の地》が何のために入っているのかというと、「《日を浴びるルートワラ》のパンプ能力を起動する」というほぼその一点にある (一応《復讐蔦》や《活性の力》の手打ちも理論上は可能だが、そんな場面に出くわしたことはない)。

 確かに1/1が3/3として扱えれば殴り倒しやすくなるのは間違いないのだが、この手のデッキにおいては上ブレのケアよりも下ブレのケアの方が大事であることが多い。

 その点《甦る死滅都市、ホガーク》は、《日を浴びるルートワラ》《復讐蔦》が2体以上出てないと召喚できないとはいえ曲がりなりにも墓地リソースなので、手札に残す必要がないという点が大きい。正直大差はないかもしれない部分だが、《日を浴びるルートワラ》や《復讐蔦》で超えられないサイズの《タルモゴイフ》がいるときなどに単騎突破の可能性が生じるだけでも採用する価値はある。

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 サイド《幽霊街》の追加。

 このデッキが警戒すべきサイドカードは限られており、その中でも《虚空の力線》《外科的摘出》《The Tabernacle at Pendrell Vale》が占める割合が有意に高い。

 特に《The Tabernacle at Pendrell Vale》は他の墓地対策に加えて2枚ほどサイドにとられている場合が多く、このカードだけ角度が違うために独自のケア (常に《不毛の大地》を立たせておくなど) が必要となる。

 また、バザールデッキ同型は《虚空の力線》に加えて「相手の《Bazaar of Baghdad》が割れるか」が初手キープの重要な判断材料になる。既に5枚の枠を割いている部分ではあるが、他のカードの大部分がマリガン判断に寄与しない以上、多すぎて困るということはないだろう。

 ちなみにサイドのモックスは《The Tabernacle at Pendrell Vale》対策のつもりだったが気のせいだったので割愛。再び出るなら2枚目の《幽霊街》と4枚目の《有毒の蘇生》にするだろう。

 ……といったところだろうか。Magic Onlineならばヴィンテージも他のエターナルフォーマットとそう変わらない出費で楽しむことができる。0マナを巡る繊細な攻防を楽しみたい方は、ぜひ参入してみてはいかがだろうか。

            ◇

 Today's Tune

 BUMP OF CHICKEN「アカシア」

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