読書に関して、私は長らく紙の本 (ほぼラノベ・ミステリ・SF小説などのエンタメ系しか読まないが) を購入してきており、ここ数年は面白そうな本をたまにAmazonで探しては購入して、配送を待ってから読むというのがもっぱらの習慣だったので、まさか自分が電子書籍を読むようになるなどとは思ってもいなかった。
だが、昨年8月にスマートフォンをGoogle Pixel 3aに買い換えたこともあり、9月になって初めてAmazon Kindleで電子書籍を買ったところ……これが、ドハマりしてしまったのである。
もちろんスマートフォンの画面サイズの都合上、電子書籍で読みやすいのは圧倒的にマンガである。ボタン一つで購入でき、その場でページを繰るだけ。途中で閉じても、あとで開いたときにまたその箇所から読み始められる圧倒的な利便性。それもあり、マンガの購入頻度は飛躍的に上昇した。
しかし、かといって代わりに小説を読まなくなったかというとそんなこともなく、小説を読む人が少なくなった世の流れ的に「オススメの小説」といった情報が人づてには流れにくくなったからそれほど読まなくなったというだけで、代わりにAmazon Kindleのストアをチェックしていると「この本を買った人はこんな本も読んでいます」的なレコメンドは流れてくるので、情報チェックの頻度自体はむしろ上がっているかもしれない。
そんな時間をどうやって捻出しているのかというと、もともと私はスマートフォンのゲームをあまり遊ぶ方ではなく、まとまった暇な時間、特に移動時間にはぼーっとTwitterを見ていたりすることが多かったところ、そこにおいて電子書籍がピッタリとニーズに合致したわけである。しかも紙の本を持ち歩くのは嵩張るが、スマートフォンならどの道持ち歩いているので関係がない。
本当に、便利な世の中になったものだとつくづく思う。
さて、とはいえこうした読書体験の電子化に関しては、次々と本屋が潰れていっているといったニュースが流れているのと合わせ、世間ではネガティブに捉える向きが多いように思われる。
確かにこのまま電子書籍の普及が進めば、紙の本というものが活躍できる領域はどんどんと狭くなっていくことだろう。
しかし、私はそれを悲しむべきこととは思わない。むしろポジティブに捉えていると言っていい。読書という体験は、スマートフォンを通じてより身近になったものと考えられるからだ。
本の情報には自動的にレビューの情報も付加され、そこから同じ作者の本を辿ったり、同じ本を読んだ人の読書傾向なども知ることができる。一つの本はその本だけで完結せず、また次の本を巡る旅へと導いてくれる。
まして、本にはもはや空間リソースという所有の限界がなくなったのである。人は衝動的に何冊でも本を買えるし、何冊でも積むことができる。古本はなくなり、本棚はインテリアとしての機能しかなくなるだろう。
言語の壁すらなくなる日は近い。少なくともマンガに関しては翻訳版が大きなビジネスとなっている現状、小説がそうなる日もやがては来るだろう。あるいは、小説というフォーマットがスマートフォンというデバイスに最適化したものとして進化を遂げる方が先かもしれない。
いずれにせよ、エンターテインメントの本に関しては、紙から電子書籍への流れは止められないだろう。エンタメである以上、スキマ時間に読みたいというニーズが強く、時間と労力に関して「効率」の二文字からは逃れられない宿命にあるからだ。
Q.電子書籍は紙の本を駆逐するのか?
A.エンタメのジャンルにおいては、間違いなくするだろう。
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Today's Tune
くじら「ねむるまち feat.yama」