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なんかゴミです。

【だら草032】ネオブランドの頻出ミス10選

 

 

 少し間が空いてしまったが、十分な成果を持ち帰ることができた。Modern Showcase Challengeはトップ8に残ることで次ステージのQualifierの権利を獲得できるので、一没でも問題ない (もちろん優勝はしたかったが)。

 さて、今回はこの結果とは直接の関係はないが、ネオブランドで好成績を残す最大の秘訣である「ミスを減らす」ことについて、頻出するミスを例示しながら解説していこうと思う。

 一般的にネオブランドは「コンボパーツを揃えたら勝ちの、簡単かつ技術介入度の極めて少ない、それゆえに運ゲーがしたいだけのファッ〇ンなデッキ」と思われがちであるが、私の体感では「そこらじゅう至るところにミスの地雷が埋まっている地雷原」である。

 もちろんミスをなくせば8割勝てるというほどに盤石なデッキではないのだが、技術介入度が少ないかというとそんなことはなく、正しいマリガン、正しいプレイ、正しいサイドボーディングによってかなり勝率が左右されるデッキなのである。

 それでは、具体的にどんなミスが主に発生するのかについて見ていこう。

 

■ 1. マリガンしない

 実のところ、勝敗貢献度で言えばネオブランドにおけるミスの7~8割はこの項目になる。

 たとえば《墓掘りの檻》を採用している相手に対して《造反者の解放》をサイドインしなかったとしても、このデッキには1キルもあるし相手のキープミスもありうるので、必ずしも勝敗に影響するわけではない。

 しかし「マリガンすべき手札をキープしてしまう」ことは、幸運なドローでたまたまキープが肯定されない限り、ほぼ常に死に直結する。どんなときでも、原則としてきちんとマリガン基準に従って手札をキープする必要がある。

 まずここで言う「マリガンすべき手札」とは、「コンボが達成できない手札」のことである。

 そしてこのデッキのマリガン基準は、メイン戦などの無条件の状態では《アロサウルス乗り》or《召喚士の契約》側のパーツと《新生化》or《異界の進化》側のパーツ、すなわち「コンボパーツ2種の双方が揃っていること」となる (ただし先手はダブルマリガンまで、後手はトリプルマリガンまでで止めたいので、ダブマリやトリマリした時点で条件が緩和される。また、手札の他のカードの強さ次第で、《血清の幻視》をコンボパーツの片割れと同視してもよい)。

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 これは上記の大会、6回戦目の2ゲーム目、アミュレット相手に1ゲーム目を落とした状態でのワンマリガン後の7枚(キープ前)である。

 この手札はマリガン基準に沿っていないが、《魔力変》の2ドローで《アロサウルス乗り》側を引けば1キルできる。はたしてキープすべきだろうか?

 私の結論としては、この手札はダブルマリガンすべきである (ちなみに実際には心が弱くてキープして死んだ)。

 確かに《絡み森の大長》と《新生化》が揃っていてドローもあるというのは比較的恵まれている。しかしこのデッキはロンドンマリガンのおかげで、ダブルマリガンまでは同様の手札を求めることができる。それによしんば土地3《アロサウルス乗り》《異界の進化》という5枚をキープすることになったとしても、2回の《魔力変》で《アロサウルス乗り》を探しに行くよりはコンボ達成率が高い。

 このデッキにおいて探しやすいカードは、「緑のカード>土地>コンボパーツ」の順なのである。マリガンという最も多くのカードに触れられる段階で、最も探しにくい材料をいち早く確保することが望ましいのだ。

 

■ 2. 残りライブラリーのカウントミス・残り《猿人の指導霊》のカウントミス

 慣れてくれば起こりにくくなるものではあるが、それでもディスカードが絡んだり1ターン目に《魔力変》を打つパターンなどで見落としやすいので完全にはなくならない類のものであり、かつネオブランドを回し慣れないうちは相当頻発するミスである。

 一人回しや実戦の回数を積み上げれば自然と減ってくるので、これで自滅しているうちはまだまだ回し足りない証拠と思って反復練習を積み上げるしかない。

 

■ 3. サイドボードで入れるべきカードを入れない

 一口で言っているが、このミスを減らすのは実は10項目の中で最も大変である。

 なぜなら、「サイドボードで入れるべきカード」とは当然「対戦相手がサイドインするカード」に依存するところ、対戦相手のサイドインを判断するためには、環境のすべてのデッキのサイドボードを知っておく必要があるからだ。

 マニアックなデッキのサイドボードまで暗記する必要はもちろんないが、少なくともメジャーなアーキタイプについては「カウンター/置き物/手札破壊」などの対応策別に分類し、サイドボードプランをあらかじめ決めておくべきである。

 

■ 4. 打つ必要のない《召喚士の契約》を打ってしまう

 まず誤解のないように先に言っておくのだが、《召喚士の契約》はライブラリーを圧縮できるので、7の倍数の枚数調整が絡まないなら基本的には打ち得である。後述するが、ラストターンなのが確定しているなら通常ドローの質を1%でも向上するべく自分のアップキープに打つことも躊躇ってはいけない。

 ただ、それでも打つべきでないシチュエーションも存在する。それは「《グリセルブランド》を立たせてターンを返しても問題ない場合」だ。

 環境には《流刑への道》や《暗殺者の戦利品》を打ってくる相手は少ないので、グリセルゴーと言える相手は意外と多い。圧縮するために焦って契約コストを背負ってしまい、ライフゲインが引けなかったばかりに契約死なんてことが起こらないよう、状況に応じてしっかりと見極めよう。

 

■ 5. 必要のないキャントリップやサイクリングをしたり、《血清の幻視》の占術で特に理由なくカードを下に送ってしまう

 これは《グリセルブランド》を1枚にしたことで顕在化したミス項目である。ドローの回数が増えれば、当然1枚だけの《グリセルブランド》をうっかり引いてしまう確率も上がる。

 コンボ成立が確定しているなら、《滋養の群れ》が引きたいからと無闇に《魔力変》を打つようなことはせず、《グリセルブランド》着地後に温存するようにしよう。

 

■ 6. 《否定の力》が入ったカウンターデッキ相手に《夏の帳》を引いているにも関わらず、焦って仕掛けてしまう

 《夏の帳》は《時を解す者、テフェリー》がいても先打ちできる、カウンターデッキに対する切り札である。ゆえに、「《夏の帳》はあるけどマナが足りない」という状況では、基本的には《夏の帳》を追加で打てるようになるまで待つべきである。

 なぜなら、相手のキープ基準は《否定の力》の優先度が最も高く、ダブマリ以内のどこかでマリガンを止めてキープされた段階で相当の確度で持たれている可能性が高いからだ。

 「待つと《夢を引き裂く者、アショク》を出されたり、今は持っていなかった《否定の力》を引き込まれるかも」という懸念もあるだろうが、心を強く持ってターンをパスしよう (もちろん、逆に《夏の帳》を引けていないなら全ツッパが正解にもなりうるのだが)。

 

■ 7. セットするランドを間違える

 《植物の聖域》が最強で、ライフを損失する《冠水樹林帯》や使用限度のある《宝石鉱山》のセット優先度が落ちるのは誰にでもわかることだろうが、後者2枚が手札に来て1ターン目に《血清の幻視》を打ちたいときにどちらを先にセットするかは意外と難しい。

 相手がライフを攻めるデッキならもちろん《宝石鉱山》からだが、将来的に《冠水樹林帯》を起動するビジョンがあるなら《宝石鉱山》のカウンターを温存しないと後々詰むことも起こりうる。もっともこれも慣れの問題なので、実戦を通じて学びを得ていくしかない。

 

■ 8. ビートプラン以外の《アロサウルス乗り》を先出しした方が良いタイミングで先出ししない

 素引きした《アロサウルス乗り》は、ビートプラン以外にも先出しした方が良いタイミングがたまに存在する。

 《新生化》系のトップデッキ待ちの状態でエルドラージトロンに《難題の予見者》を出されそうなときや、同様の状態で5C人間相手に《翻弄する魔道士》を出される直前などがそうである。

 もちろん出た《アロサウルス乗り》が生き残る前提なので除去が薄い相手にしかできないプレイングではあるが、ゲームの勝敗を変えうるテクニックなので覚えておいて損はない。

 

■ 9. ラストターンであるにも関わらずオールインしない

 3項目目と同様、克服がかなり難しいタイプのミスである。

 なぜなら、これを克服するためには「すべてのデッキのラストターンを把握している必要がある」からだ。

 なお、ここで言う「オールイン」とはコンボ達成の確率を上げるあらゆる行動を指す。ラストターンであり、かつ《血清の幻視》でライブラリーの下が固定されていないなら、《召喚士の契約》はアップキープに打った方が良いし、《猿人の指導霊》を切って《冠水樹林帯》をドローに変換したり、《秋の際》をサイクリングすることも躊躇ってはいけない。

 

■ 10. 《異界の進化》を抱えているとき、トップ《新生化》の受けを忘れる

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 これはイルハグシュートと当たったときの3本目、先手3ターン目のメインフェイズ (セットランド前) の状況である。見ればわかるようにコンボを決めるには1マナ足りないので、このターンにコンボスタートしたいならキャントリップのいずれかを使うしかない。

 このターンの正しい行動は、以下のうちどれだろうか?

「1. 何もしないでターンエンドする」
「2. まず《魔力変》を打ち、(緑)(緑)を宣言する」
「3. (青)マナを浮かせて《島》を生け贄に《秋の際》をサイクリングする」

 まず1については、手前の9項目目に関わってくる。相手の墓地には《猪の祟神、イルハグ》があり、もし相手が《御霊の復讐》と何らかのレジェンドをセットで持っているなら、返しのターンで負けるか《グリセルブランド》でカードが引けない状況になってしまう。つまりこれは事実上のラストターンと見るべきなので、1の選択肢は取りえない。

 では2ならどうか。これなら3枚目の土地と《猿人の指導霊》のドロー受けが残るし、万一引けなかった場合には、《秋の際》をサイクリングするかどうかの選択を引いたカード次第で決められる。

 だが、これは誤りである。まず、先ほどラストターンと定義したにもかかわらず、選択を後回しにするのは自己矛盾である。もちろん《魔力変》から打ったとしても結果が変わらない場合ならそれでも問題ないのだが、今回は事情が違う。なぜなら、トップ《新生化》という裏目が明確に存在するからだ (※更新してから気づいたが、《秋の際》サイクリングにも裏目が存在する。トップが《猿人の指導霊》で、かつ2枚目が緑のカードではなかった場合だ。だが、トップが《猿人の指導霊》でも2枚目が緑のカードならばいずれにせよ問題ないので、事象の発生確率からするとやはり《秋の際》サイクリングに軍配が上がるだろう)。

 《アロサウルス乗り》と《異界の進化》という組み合わせを抱えていてマナが足りないとき、「あと1マナあれば!」という思考に脳が支配されてしまいがちである。しかしその1マナ不足は土地や《猿人の指導霊》だけでなく、《新生化》ドローによっても解決されうるということを、ネオブランド使いは常に頭の片隅に置いておく必要があるのだ。


 キリがいいので10という数字を最初に決めた後に思いついた順に書いてみたが、もちろん10項目の重要度は均等ではなく、最初に書いたように「1. マリガンしない」が圧倒的なウェイトを占めるし、この他にもミスの種類はまだまだ存在する。

 《絡み森の大長》を公開し忘れたり、マリガン後に戻すべきカードを間違ったりするようなポカミスは誰しもあまり起こらず、むしろマリガンすべき手札をキープしてしまうことこそが、このデッキのポテンシャルを引き出しきれない最も大きな原因なのだ。

            ◇

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 さユりミカヅキ/THE FIRST TAKE」

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