だらだらブログ

なんかゴミです。

【だら草054】カルドハイム注目カード

 

 さて今回は、カードリストが出た「カルドハイム」の中から、主にパイオニアやモダン視点で活躍する可能性があるカードをいくつかピックアップしたので、そちらを見ていこうと思う。

 ちなみに前回の「ゼンディカーの夜明け」では《創造の座、オムナス》も《スカイクレイブの災い魔》も《マグマの媒介者》も全部余裕でスルーしていたのであくまで参考程度にとどめてもらえると幸いだ。

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 スタンダードに《栄光の頌歌》が存在しているのに全く使われていないという現状は少し寂しいものがあるが、種族を揃える必要があるとはいえ《清浄の名誉》以来の2マナの恒久的全体強化ならば活躍の機会もあるのではないか。といってもこれを使うような真っ当なビートダウンが通用するのはスタンダードかせいぜいヒストリックに限られるだろうが。

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 「予顕」が必要でかつ4マナ以下限定とはいえ、呪文のコピーが1マナでできるのは破格。《嵐の伝導者、ラル》コンボにおける《二倍詠唱》の代わりになるか。

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 戦場に巨人を用意する必要があるとはいえ、墓地にこいつを落としておくだけで恒久的なダメージが入るというのは面白い。場持ちがいい巨人や多相と合わせたコントロールができるかもしれない。《変わり谷》だと誘発しないのには注意。

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 《予想外の結果》!?《予想外の結果》じゃないか!!これ単品ではダメな点がネックだが、「続唱」との相性は言わずもがなだし、色々と楽しそうなことができそう。

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 2ターン目にこれ→3ターン目にマナ加速系置き物→4ターン目に4マナパーマネント+5マナパーマネントと動けるだけでもなかなかすごそうだが、力線と組み合わせて3ターン目に5マナを踏み倒すなど、悪さもできそうな気配はある。あと《アロサウルス乗り》と一緒に出すと3ターン目に《グリセルブランド》が手札から出せます(既に1ターン目に山札から出せるのでどうでもいい)

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 《出産の殻》!《出産の殻》じゃないか!!とはいえクリーチャータイプ縛りはなかなかきつそう。起動元のクリーチャーのコスト参照するのに起動コストが1マナ増えてるのも地味に痛い。2マナクリーチャーと3マナクリーチャーだけでできる、同一種族内で完結する無限コンボ……って、そんなんあったら秒で禁止だわな。

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 地味に《自然の怒りのタイタン、ウーロ》や《死の飢えのタイタン、クロクサ》を咎められるカード。ぶち抜かれて除去持ってなかったら3ターン目に変身されて殴られてゲームが終わる。それ以外の機能はあまり思いつかないが、実際相手にしたらかなりいやらしそうではある。

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 ストームしてくださいと言わんばかりのカード。モダンのストームは既に完成されてるので役割がなさそうだが、パイオニアより上なら何かできそう。

 両面土地は言うまでもなく強いので省略。上から下までざっと一周しただけなので見落としもあるかもだが、総評としては少なくともモダンに影響を与えるほどのカードはないように見える。他方でパイオニアは今までなかった組み合わせの両面土地が出るので、とりあえず青白スピリットは超絶強化、赤黒もなんか強いアグロができそう。あとはなんか全般的にやたらテキストが長く感じたな。氷雪とか巨人とか条件があるカードが多いので、リミテッドは複雑そう。

            ◇

 Today's Tune

 大原ゆい子「オンリー」

https://www.youtube.com/watch?v=ebaaWokWIo4

【オタステ】オタクステーション(2020年12月分)

 

 Limited Showcase Qualifier3没はかなり応えた。年明けのOpenでリベンジしたいなー。

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 アニメの話。

◎「呪術廻戦」
 安定。ただ「懐玉」からが面白いところだけどさすがにそこまではいかないな。

◎「魔法科高校の劣等生 来訪者編」
 はいはいお兄様お兄様(先月と一緒)。

◎「安達としまむら
 素晴らしい百合アニメでした。それ以上言うことはないな。

◎「神様になった日」
 ようやく面白くなるかなと思われた10話の展開が期待したほどではなかったので11話以降見てない。

 2020年のアニメ総括としては、とにかく「id:INVADED イド:インヴェイデッド」一強だった。これだけ5年に1本クラスのアニメで、他は全く見る必要がなかった。こういうのを見るためにアニメを見てると思えば報われた気持ちになれる。

 ちなみに2021年冬アニメに関しては、「ゆるキャン」「リゼロ」のような安定の続きもの以外ではガチで見たいものがない。そもそも女性向けが多すぎるし、「弱キャラ友崎くん」は原作そこそこ面白かったけどアニメはクオリティ微妙そう。「蜘蛛ですが何か?」は原作の序盤で脱落したし。「ワンダーエッグ・プライオリティ」だけ1話くらい見ようかな?という程度。

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 音楽の話。

 今月も音楽的には不作だった。


蒼のワルツ / Eve


あの娘シークレット / Eve

 2020年の音楽総括としては「ずっと真夜中でいいのに。」「Eve」「Sawano Hiroyuki」しかほとんど聞いていないと言っていい。月によっては「さユり」「米津玄師」「BUMP OF CHICKEN」ばっか集中的に聞いてたりもしたけど。ベストソングは以下の5つかな。


ねじこ / さユり


お勉強しといてよ / ずっと真夜中でいいのに。


BELONG / SawanoHiroyuki[nZk]:Yosh


ANIMA / ReoNa


アカシア / BUMP OF CHICKEN

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 読書の話。

 7点 陸秋槎「文学少女対数学少女」(ハヤカワ・ミステリ文庫)
「雪が白いとき、かつそのときにかぎり」の作者が書く連作短編。百合好きかつミステリ好きにはたまらないモチーフとテーマ。公理系を導入して推理するっていう形は古野まほろもそうだが、書くの超大変だと思う。その割に絶対理解されないから労力に見合ってない気がするけど、間違いなくネクストレベル。ただ読み味が優れているというわけでは決してないので、こういうテーマが好きかどうかという点で人は選びそう。

 9点 月村了衛「機龍警察 -暗黒市場-(上)(下)」(ハヤカワ文庫)
ノワール」の月村了衛が描くミリタリー×ロボアクションの大人気シリーズ「機龍警察」の3作目。単行本は大分前に出てたけど文庫化したら読もうと思って忘れていて、電子書籍の時代になったからもう文庫化を待つ意味もないのだが、ちょうど今月文庫化したので読んだ。いやこれは最高傑作だわ。常に緊張感たっぷりの描写、上巻の回想から下巻のアクションパートまで伏線をきっちり回収しきる構成、どれをとっても超一流。久しぶりにめっちゃ面白い小説が読めたなー。ちなみに過去のオタステを確認したわけではないけど、記憶をたどる限り「機龍警察」は1作目が7点、2作目が8点くらいの面白さだった気がする。

 6点 石田リンネ「十三歳の誕生日、皇后になりました。」(ビーズログ文庫
TwitterのTLで勧められてたから読んでみたやつ。よくあるファンタジー中国×王宮×日常ミステリもの。ロリ主人公が可愛い。まあそれだけ。

 8点 月村了衛「機龍警察 -未亡旅団-」(ハヤカワ文庫)
「機龍警察」の4作目。姿、ライザ、ユーリとそれぞれの龍機兵搭乗者にピックアップしたこれまでと異なり、今回は特捜のメンバーである由起谷と城木に焦点が当たる。テーマはチェチェンとテロ。難しいテーマであることは参考文献の量からも察せられるし、途中までは緊張感あふれる展開がかなり楽しめた。ただ終盤の戦いと話全体の決着の仕方はさすがに↑の暗黒市場には及ばなかったな。

 7点 月村了衛「機龍警察 -火宅-」(ハヤカワ文庫)
「機龍警察」シリーズの短編集。このシリーズの白眉はシナリオを通じて敵の正体や目的が徐々に明らかになっていく緊張感と、登場人物たちの主義思想や過去のトラウマが戦闘シーンに綺麗に織り交ぜられカタルシスに発展する爽快感にある。なので短編集という形式ではその長所が発揮されず、ありがちな警察ものとそこまで変わらないかなという印象。まあここまでシリーズを追っていればそれでも満足度は十分だが。

 6冊。今月は「機龍警察」のおかげで小説的には充実していた。

1月 14冊
2月 16冊
3月 1冊
4月 2冊
5月 1冊
6月 4冊
7月 3冊
8月 3冊
9月 2冊
10月 4冊
11月 2冊
12月 6冊

 58冊。年の始めあたりはハイペースだったが、移動がなくなったのとマンガの方がスマホで読むのに適していることに気づいてしまったことで、かなりの時間をマンガに取られた1年だった。

2011年 101冊
2012年 104冊
2013年 71冊
2014年 52冊
2015年 64冊
2016年 68冊
2017年 56冊
2018年 31冊
2019年 58冊
2020年 58冊

 まあ50冊読んでればいいでしょう。今年のベストリードは「ゲームの王国」「りゅうおうのおしごと!12」「機龍警察 -暗黒市場-」の3つ。2021年もあまりマンガに侵食されないようにしつつ、50冊くらいで年に3冊程度の9点が見つかればいいな。

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 その他。

 最近はいい加減Vtuberにも飽きたので「Among Us」と「マーダーミステリーJ」のプレイ動画を見てる。

 7月末時点で80kgあった体重に危機感を覚えて始めたダイエットは、とりあえず70kgまで来た。ただし食事制限と代わりに酒ばっか飲んでるのであまり健康的な痩せ方ではない。

 マンガはKindleで無限に買いまくって、面白いものをたくさん読んだ。「雑誌で読みたい!」と思えるほどのはなかったから基本的に単行本でしか読まないし微妙なのもいっぱい読んだけど、「呪術廻戦」「チェンソーマン」など鉄板モノに出会えたので総合的には読んでよかった寄り。ただ話題になったもので好みのジャンルのは大体読んだので、今後の新規開拓は確率低そうだなとも思う。

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 というわけで今年もお世話になりました。2021年はそろそろ生放送でもするか……。

 

            ◇

 Today's Tune

 Eve「蒼のワルツ」

https://www.youtube.com/watch?v=pyDCubgU57g

【オタステ】オタクステーション(2020年11月分)

 

 今月は全然MO起動しなかったため、更新する材料がなかった。

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 アニメの話。

◎「呪術廻戦」
 クオリティ高くて普通に見れるね。けどアニメはどこで終わるんだろこれ。

◎「魔法科高校の劣等生 来訪者編」
 はいはいお兄様お兄様。

◎「安達としまむら
 癒し。しかし冷静に安達は頭がおかしいな。

◎「神様になった日」
 1~4話が苦痛だったけど5話が結構良くて、とはいえそれでも惰性で見てたらようやく話が動いてきた。ただ仮に後半クソ面白くなったとしても人には勧められないくらい前半がきついので名作にはなりえない気がする。1ヶ月後のオレが何て言ってるか楽しみだ。

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 音楽の話。

 今月は収穫が少なかった。「君という神話」はいつも通り良曲だが。


まほう feat.理芽 / 花譜


Circle of Karma / FUZI × MAAS


君という神話 / やなぎなぎ

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 読書の話。

 7点 劉慈欣「三体Ⅱ(下)」(早川書房
いきなり話が未来に飛んでいよいよ三体世界と対決というところ。解決の仕方が若干消化不良だったけど、久しぶりの真っ当なSFで満足はした。

 7点 不手折家「亡びの国の征服者Ⅰ」(オーバーラップノベルス
「なろう」で人気だったらしい小説の書籍化。テンプレ通りのありきたりな異世界転生ものだが世界観描写がしっかりしていて楽しく読めた。さすがに実績があるとクオリティが違う。

 2冊。それよりマジでマンガの量がやばい。

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 単純に飯を減らすのは体調が悪くなりがちだったので朝だけちゃんと食うようにしたら調子良いしまた体重も減り始めた。このままあと5kgくらいいきたい(でも鶏千には行く)

 

            ◇

 Today's Tune

 花譜「まほう feat.理芽」

https://www.youtube.com/watch?v=g8NbvGE8w6s

【だら草053】パイオニア版スパイについて

 10月は忙しくチャレンジなどにもほとんど参加できなかったが、久しぶりの土日連続参加で64人という小規模大会ながらも一応トップ8という成果を残すことができた。

 というわけで今回は、その際に使用したイオニアのスパイというデッキについて、63枚という境地に至ったその背景も含めて解説していこうと思う。

■ 1. 77枚型の成立と疑問

 コロコロオンラインの連載でも触れたが、パイオニアのスパイは当初青黒型が主流で、それに対して《森の女人像》《楽園のドルイド》を搭載した緑黒型も存在はしていたものの、不安定なマナベースが克服できないという問題点があった。それもあってトップメタのデッキに対しては、サイドに対策が全くとられていないという状況ならば別論、普通に墓地対策がとられている前提だと、どちらの型にせよどうにも勝ちきれないという程度のデッキパワーだった。

 だがそんな折、andrw1232が10月12日のスーパーPTQで優勝したことで、77枚型のスパイが一躍注目を浴びたのである(この大会では80枚だったが、その後のテンプレートは77枚になったのであえてこう呼んでいる)。

 これは本当に革新的な構成で、《地底街の密告人》《欄干のスパイ》という1枚コンボのパーツを《新生化》《異界の進化》で16枚搭載にまで増やすことで、16枚程度入っている「手札に来たら困るカード」が手札に来てしまう確率を下げつつコンボ成立の確率だけを上げるというデッキパワーの大幅な底上げを実現したものであり、スパイは所詮二流デッキと看破されつつあった中で優勝したのもむべなるかなといったところであった。

 そしてこのデッキの登場によって「スパイはライブラリーを増やした方が強い」という命題が真であると信じられるようになり、以後は77枚型がコピーされてロータスコンボに匹敵するコンボデッキとしてトップTierに食い込むなど、デッキパワーの増加を証明して破竹の快進撃を続けているというのがこれまでの流れである。

 しかし、77枚型が提起したのは本当に「スパイはライブラリーを増やした方が強い」という命題だったのだろうか?

 冒頭で書いたように、緑黒型のスパイの弱点は「不安定なマナベースが克服できない」というものだった。だが、試しに私が77枚型の登場以前に調整していた緑黒型と比較しても、《新生化》《異界の進化》を使う都合上《森の女人像》《楽園のドルイド》が両方採用されているという以外、(選択肢がMDFCしかない以上当然だが)マナベースの面でとりたてて大きな変化はなさそうだった。にもかかわらず、77枚型は以前の60枚型とは比べ物にならないほどの好成績を残せている。

 それに+5枚程度ならいざ知らず、相棒の《空を放浪するもの、ヨーリオン》もないのに10枚以上もデッキを増量しておいてマリガンに悪影響を及ぼさないはずがない。

 私の直感が告げていた。「このデッキにはまだ伸びしろがある」と。

■ 2. 63枚型への回帰

 マナベースとは、そのデッキが実現したい理想の動きを一定以上の確率で実現するためのものだ。

 したがって、いかに一時の上ブレで良い成績を残せたりしたとしても、スペルの組み合わせ以外の理由で理想の動きをきちんと再現できないというならば、そのマナベースは破綻しているということになる。

 さて、では本当に「スパイはライブラリーを増やした方が強い」のだろうか。77枚型のマナベースは、はたして一体どうなっているのか。

 それを確かめるべく、私はとりあえず72枚、65枚と不要そうなカードを削りながら何度か実戦で回してみた。

 そしてその結果、(少なくとも私にとって)驚くべき事実が明らかになったのである。

 唐突だが、このデッキのキープ基準は何だろうか?

 そう聞かれれば、おそらく9割9分の人が「《地底街の密告人》《欄干のスパイ》(と、それらをサーチできる代替パーツとしての《新生化》《異界の進化》)」と答えるだろう。

 だが、実はそうではないのである。

 パイオニアはアグロが強く、4ターンキルもざらに発生する環境である。したがって4ターン目に《地底街の密告人》《欄干のスパイ》を出してのコンボ始動では間に合わないケースが多い。

 すなわち、仮に《新生化》《異界の進化》が絡まなかったとしても、《森の女人像》《楽園のドルイド》はいずれにせよ必要というのが、このデッキが環境で通用するための最低条件となってくる。

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 そして、「キープする手札には必ず《森の女人像》《楽園のドルイド》が含まれている」……このことを前提にすると、見えてくる世界が全く違ってくる。

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 たとえば「3ターン目に《地底街の密告人》か《欄干のスパイ》をプレイする」ことを前提にしてみよう。このためには「2ターン目までにマナ加速する」ことを満たしつつ、「3ターン目にアンタップの土地を置」かなければならない。この要求は極めて高く、上で載せたように2ターン目の(緑)を要求しないために《起源の柱》を採用する必要があったくらいである。

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 だが、「3ターン目に《新生化》か《異界の進化》をプレイする」という前提を置いたならばどうだろうか。

 そう、実は《新生化》にせよ《異界の進化》にせよ、2ターン目に《森の女人像》または《楽園のドルイド》を出せている限り、アンタップインどころか3枚目の土地そのものを必要としないという重大な真実が浮かび上がってくるのである。

 つまり、77枚型が真に明らかにしたのは実は「スパイはライブラリーを増やした方が強い」という命題ではなく、「スパイは《新生化》と《異界の進化》を軸にした方が実はマナベースに負担をかけない」という隠れた真実だったのである。

 なぜなら、「《森の女人像》または《楽園のドルイド》を引いている」という前提に立つ限り、一緒に引いているのが《新生化》であろうと《異界の進化》であろうと問題になることはないからである。したがって、すべてのネックになっているのは《森の女人像》《楽園のドルイドであって、3色のデッキの方が2色のデッキよりも低い負担で済む……これはまさにブレイクスルーであった。

 この新たな事実がもたらしたデッキパワーの底上げはすさまじく、具体的にはスパイというデッキはトリプルマリガンまでできるようになったのである。最低でも土地2枚/マナクリ/《新生化》系という手札で全く問題ないからだ。77枚型の勝率を担保していたのは、実はこうしたマリガンの許容性であったと言える。

 さて、そうとわかれば77枚にこだわる理由は1ミリもない。むしろキープ基準が《森の女人像》と《楽園のドルイド》である以上、ライブラリーの枚数は少なければ少ないほど良いはずである(もちろん相手によっては《絡みつく花面晶体》で代替できることもあるが、それに賭けるシチュエーションは少ないに越したことはない)。

 そういうわけで、私はライブラリーを限界まで削る作業に没頭した。《新生化》または《異界の進化》が軸となる以上、《地底街の密告人》と《欄干のスパイ》の枚数は絞れる。

 その結果生まれたのが、《地底街の密告人》と《欄干のスパイ》を2枚ずつに絞った、冒頭の63枚型であった。

 もちろん《新生化》と《異界の進化》に寄せることで《呪文貫き》などのカウンターに引っかかりやすくなってしまう弊害もあるが、それはこのデッキが定着してそういったカードが採用されるようになった後に考えればいい話で、スパイというデッキにおける最強だけを目指すなら、《新生化》と《異界の進化》に寄せた方が安定性の面で間違いなく強いと言える。

■ 3. その他アレンジを加えた点とその理由

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 《思考囲い》の撤廃。現状のデッキ構成を前提とする限り、《思考囲い》が必要なシチュエーションは極めて限定されている。それは、3ターン目までにカウンター/対策カードを構えられるシチュエーションである。

 アグロが強いパイオニアにおいてはそのようなシチュエーションは想定しづらいため、ライブラリーの枚数を増やしてまで《思考囲い》を入れる必然性は見当たらなかった。また、(黒)を積極的に捻出したくないマナベースの問題もある。少なくともメインから《思考囲い》を入れるべき必然性は、コントロールがメタゲームの中心にならない限り、存在しないものと言わざるをえない。

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 サイドの《ナルコメーバ》は、アグロ対策の他にも《乱動する渦》対策でもある。ルールスバーン相手は《乱動する渦》を置かれて1マナを立てられると《銀打ちのグール》が蘇生しないために《秘蔵の縫合体》も帰ってこない事態になりうるが、《ナルコメーバ》が1枚入っていればワンチャンスが生まれるからだ。

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 サイドの《スカイクレイブの亡霊》は、《新生化》《異界の進化》を前提にした上で《魂標ランタン》と《漁る軟泥》を同時にケアしうる数少ないカードである。

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 サイドの《真髄の針》は、同様に《魂標ランタン》と《漁る軟泥》を同時にケアしうる数少ないカードとなる。ロータスストームに対して《演劇の舞台》を封じうるという細かい役割も一応存在する。こちらは《新生化》と《異界の進化》でサーチはできないが、《突然の衰微》の5枚目といった意識で採用している。

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 サイドの《虚空の力線》の枚数については、このデッキを使用しはじめて40マッチほどの間に同型を全く踏まなかったというのが大きい。おそらく多くのプレイヤーにとってスパイはまだ二流デッキという認識なので、今後63枚型が流行すればまた同型対決をケアする必要性が出てくるのかもしれない。

 最後に、このデッキの回し方については、「(少なくともメインボードは)3ターン目にライブラリーが全部墓地に落ちないハンドはトリマリまでキープしない」という一点だけ守っていれば問題なく回せると思う。

 ちなみにこのデッキは世にも珍しいサイドインはするがサイドアウトを全くしないデッキなので(つまりサイド後はライブラリーが増える)、サイドインアウトに困ることもない。これは「キープ基準が《森の女人像》と《楽園のドルイド》だからライブラリーは少ない方が良い」と一見矛盾するようだが、トリマリまでできるというデッキの構造を考えると、少しくらい不安定にしても十分耐えられるという許容性の問題なので(もちろんサイドアウトできるカードがあるに越したことはないのだが)、理論的に両立しうると考えている。

 それでは、良いスパイ生活を!

            ◇

 Today's Tune

 ニガミ17才「こいつらあいてる」

https://www.youtube.com/watch?v=wgp4pGbl_wU

【オタステ】オタクステーション(2020年10月分)

 

 一気に寒くなったな。

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 アニメの話。

◎「呪術廻戦」
 つい最近既刊を一気読みしたのでアニメ見る必要ないっちゃないけどクオリティ高いという評判だったので見てる。確かに出来が良さそう。OPのEveも良曲。

◎「魔法科高校の劣等生 来訪者編」
 なんか展開早くなったというか、つなぎが雑になったか?学校イベントみたいな日常エピソードなしでお兄様無双をすっかり隠さなくなったからそう感じるのかも。

◎「安達としまむら
 最序盤から全速全開で百合に行きすぎじゃないか?と思いつつも、原作の雰囲気をよく表現できている。

◎「神様になった日」
 今のところ苦痛。Charlotteだって序盤もうちょい面白かったぞ……。

◎「無能なナナ
 これはマンガ読んでたら見なくていいやつだった。

◎「魔女の旅々」
 クオリティの高い癒し系アニメだけど今は求めてない。

◎「魔王城でおやすみ
 そこそこクオリティの高い癒し系アニメだけど今は求めてない。

 なんだかんだいって見るものがなかった。

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 音楽の話。

 BUMPもEveも良曲だった。


アカシア / BUMP OF CHICKEN


Gravity / BUMP OF CHICKEN


廻廻奇譚 / Eve

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 読書の話。

 7点 劉慈欣「三体Ⅱ 黒暗森林<上>」(ハヤカワ単行本)br /> 世界観の定義が終わったことで、Ⅰから視点が交代。Ⅱでは面壁者という概念が登場し、三体世界との対決が水面下で本格的になっていく……的な。実際話はそこまで動いてないので、下巻がメインかな。

 7点 森博嗣「馬鹿と嘘の弓」(講談社ノベルス
シリーズ外の長編かと思ったら小川と加部谷が主人公で実質Xシリーズだった。キャラ小説として読んでたら終盤の展開がすごくてさすが森博嗣って感じ。

 7点 竜騎士07「バケモノたちが嘯く頃に ~バケモノ姫の家庭教師~」(電撃文庫
ひぐらし」「うみねこ」の竜騎士07が書く単発小説。話としてそこまで面白くはないが、テーマが面白いのと文章や世界観の竜騎士みがこれでもかと感じられたのが良かった。

 6点 入間人間安達としまむら9」(電撃文庫
アニメ化して久しぶりに新刊出たと思ったら全然話進まねーじゃねーか!

 4冊。「三体」も「PSYCHO-PASS」も面白いんだが、エンタメに対する時間単位の意識が変わったからか、なかなか腰を据えて本を読もうと思わなくなってしまった。あとずっと積んでた「月に繭 地には果実」(∀ガンダムの小説。アニメは見たことない)を少しずつ読んでる。

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 食事制限だけだと全然体重が落ちない領域に来てしまった。運動するか……。

 

            ◇

 Today's Tune

 Eve「廻廻奇譚」

https://www.youtube.com/watch?v=v8bZVdTgXoY

【だら草052】ヴィンテージのホロウヴァインについて

 QPが余っていたため気まぐれでヴィンテージのShowcase Challengeに出場したところ、幸運にもトップ8に入賞することができた (トップ8に入賞すれば12月のShowcase Qualifierに出場できる)。

 あまり需要はないかもしれないが鉄は熱いうちに打てということで、今回はこのホロウヴァインというデッキについて解説していこうと思う。

■ 1. これってどんなデッキなの?

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 ヴィンテージで《Bazaar of Baghdad》を使用するデッキには大きく分けて3つのアーキタイプがある。ホガークヴァイン (Hogaakvine)発掘 (Dredge)、そしてホロウヴァイン (Hollowvine)の3つだ。

 名前は似ているがホガークヴァインはどちらかといえばフェア寄りの墓地利用アグロで、いわば「急戦に寄せた墓荒らし」といったコンセプトに近いかもしれない。

 これに対し、発掘とホロウヴァインはどちらもマナを使わないアンフェアデッキで、デッキ構成も似ているが、ホロウヴァインの方が妨害に寄せたコントロールという立ち位置である。

 発掘との違いは妨害要素にあり、《陰謀団式療法》を使わない代わりにメインから《誤った指図》《活性の力》まで搭載されている点が特徴的である。

 要はホロウヴァインは、マナを使わないアンフェアデッキでありながらフェアデッキと同等の妨害要素を兼ね備えているデッキなのだ。

 もちろんバザールデッキの例に漏れず初手キープは基本的にバザール引くまでマリガンだし (なので《血清の粉末》も採用されている)、起動するたびにアドバンテージを失うこのカード単体で妨害コントロールが成立するはずもない。

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 しかしそれを無理矢理成立させているのが《ゴブリンの太守スクイー》である。

 このカード1枚で《Bazaar of Baghdad》はデメリットなしの2枚ルーターになり、2枚引けば毎ターンアドバンテージが得られるようになる。

 そのエンジンの形成が実質《Bazaar of Baghdad》のセットランドのみで可能、さらにはカウンターや手札破壊による妨害も不可能というのだから、いかにヴィンテージといえどこのエンジンにメインから対抗するのがかなり難しいということはおわかりになるだろう。

■ 2. デッキ選択の経緯

 とはいえ、私自身このデッキをずっと握っていたというわけではない。というか、MOでヴィンテージの大会に出場したことも片手で数えられるほどしかないはずだ。

 ホロウヴァインを使うのも、実はまだこれで2回目である。1回目は先月9月13日のヴィンテージチャレンジで、最小成立人数が32人のところ毎回40人前後しか参加者が集まっておらず、賞品期待値的にペイしそうだと考えて参加を決意したときのことだった。

 このときに完コピしたのが、MOモダンでは同じネオブランドというデッキを長らく使用していたWingedHussar前日に準優勝していたリストである (彼が起源というわけではなく、調べた限り最も古い記録は2019年11月17日のリーグ5-0のようだった)。

 この日の結果としては、参加する前に一人回しはしていたものの慣れない対人ヴィンテージに死ぬほどプレイミスを重ね、それでもデッキポテンシャルだけで3勝3敗 (含む不戦敗) し、どうにか参加費をペイすることができた。

 そして「オールインも受けもあるアンフェア」というこのデッキのコンセプトにすっかり魅了された私は、不満を感じた点を密かに微調整して再出撃の機会を窺っていたところ、冒頭のShowcase Challenge出場につながった……というわけである。

■ 3. 元のリストから変更を施した点

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 《メムナイト》→《有毒の蘇生》への変更。

 そもそもこのデッキはアグロなオールインではなく、コントロールとしての性質が強いことは先の段落で述べたとおりである。とすると、各種ピッチスペルのコストにならず、手札リソースを費消して《復讐蔦》が戻しやすくなるだけに過ぎない《メムナイト》にどれだけの価値があるだろうか。実際ゲームに寄与した瞬間も少なく、サイドアウト率も圧倒的に高かったため、調整するならこの部分だろうと感じていたところであった。

 代わりに搭載した《有毒の蘇生》は、原始のリストには搭載されていたようだがテンプレートからは抜けていたカードである。そもそもこのカードに目を付けた理由は、サイドボードの《石化した原野》が弱すぎたというのに端を発する。無駄にセットランド回数がかかるので即効性がない上に、《外科的摘出》に対して無抵抗だからだ。

 その点《有毒の蘇生》は「《不毛の大地》耐性」「《外科的摘出》耐性」の2点を同時に満たせるカードというのが大きかった。加えて、1ターンの価値が高いヴィンテージでは「相手の墓地の不要そうなカードをトップに乗せて相手のドローを止める」ことも現実的なテクニックとなる。さらに「《活性の力》で追放できる」となれば文句の付けようもない。

 そうなるとバザールデッキ同型はメインから《Bazaar of Baghdad》を《不毛の大地》されるということもあり、メインから搭載しない理由がなかった。もともと0マナでできる行動などそう選択肢が多くはない中で、これだけ多様な干渉を可能にするカードは非常に貴重と言える。

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 《ガイアの揺籃の地》→《甦る死滅都市、ホガーク》への変更。

 そもそもこのデッキの《ガイアの揺籃の地》が何のために入っているのかというと、「《日を浴びるルートワラ》のパンプ能力を起動する」というほぼその一点にある (一応《復讐蔦》や《活性の力》の手打ちも理論上は可能だが、そんな場面に出くわしたことはない)。

 確かに1/1が3/3として扱えれば殴り倒しやすくなるのは間違いないのだが、この手のデッキにおいては上ブレのケアよりも下ブレのケアの方が大事であることが多い。

 その点《甦る死滅都市、ホガーク》は、《日を浴びるルートワラ》《復讐蔦》が2体以上出てないと召喚できないとはいえ曲がりなりにも墓地リソースなので、手札に残す必要がないという点が大きい。正直大差はないかもしれない部分だが、《日を浴びるルートワラ》や《復讐蔦》で超えられないサイズの《タルモゴイフ》がいるときなどに単騎突破の可能性が生じるだけでも採用する価値はある。

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 サイド《幽霊街》の追加。

 このデッキが警戒すべきサイドカードは限られており、その中でも《虚空の力線》《外科的摘出》《The Tabernacle at Pendrell Vale》が占める割合が有意に高い。

 特に《The Tabernacle at Pendrell Vale》は他の墓地対策に加えて2枚ほどサイドにとられている場合が多く、このカードだけ角度が違うために独自のケア (常に《不毛の大地》を立たせておくなど) が必要となる。

 また、バザールデッキ同型は《虚空の力線》に加えて「相手の《Bazaar of Baghdad》が割れるか」が初手キープの重要な判断材料になる。既に5枚の枠を割いている部分ではあるが、他のカードの大部分がマリガン判断に寄与しない以上、多すぎて困るということはないだろう。

 ちなみにサイドのモックスは《The Tabernacle at Pendrell Vale》対策のつもりだったが気のせいだったので割愛。再び出るなら2枚目の《幽霊街》と4枚目の《有毒の蘇生》にするだろう。

 ……といったところだろうか。Magic Onlineならばヴィンテージも他のエターナルフォーマットとそう変わらない出費で楽しむことができる。0マナを巡る繊細な攻防を楽しみたい方は、ぜひ参入してみてはいかがだろうか。

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 Today's Tune

 BUMP OF CHICKEN「アカシア」

https://www.youtube.com/watch?v=4dnT-kKIO6Y

【オタステ】オタクステーション(2020年9月分)

 

 最近また酒飲むペースがやばいので自重せねば……。

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 アニメの話。

◎「ソードアート・オンライン アリシゼーション War of Underworld
 ついにアリシゼーションも完結か。無印ソードアートがアニメ化した段階でここまで見れるとは思ってもみなかったので感慨深い。ラスボスとの戦いはかなりあっさりだったけど、目覚めたところがほぼすべてなのでこれはこれで演出として上手いと思う。

◎「Re:ゼロから始める異世界生活(第2期)」
 とにかくクオリティが高い。エキドナ可愛い。

◎「デカダンス
 最初3話がピークだった。まあ終盤は無でしたね。

◎「魔王学院の不適合者」
 オレツエー系でもはや半分くらいギャグなんだけどクオリティ高くてなんだかんだ面白かった。劣等生的な楽しみ方ができると思う。

 超電磁砲はマンガでいいやってなってしまった。「はまち」も見なきゃ……。

 あとは10月から始まる2020年秋アニメで1話を見そうなもの。昨年末くらいからアニメに絶望してたけど、最近またクオリティが戻ってきてる気がする。気のせいかもしれない。

◎「アクダマドライブ」
 「ダンガンロンパ」の小高和剛らしいので。

◎「アサルトリリィBOUQUET」
 よくわからんけどシャフトだし一応チェックしておく。

◎「安達としまむら
 原作好きだから見るけど、こんな動きの少ないやつよくアニメ化するなw 良質の百合に期待。

◎「神様になった日」
 Keyなのでなんだかんだ良アニメでしょう。

◎「進撃の巨人 The Final Season」
 あまり面白くなさそうな部分だけど毎回クオリティ高いのでなんだかんだ楽しめそう。

◎「魔法科高校の劣等生 来訪者編」
 さすがですお兄様。

◎「無能なナナ
 マンガ読んでたらあまり見る必要ない系だけど、どう表現されるか気になるので1話は見る。

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 音楽の話。

 今月は全然気に入る曲がなかった。


青嵐のあとで / sajou no hana


ラブしい / Kizuna AI × 花譜


Realize / 鈴木このみ

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 読書の話。

 7点 古野まほろ「オニキスⅡ -公爵令嬢刑事 西有栖宮綾子-」(新潮文庫
「監殺」同様の、テンポが良い水戸黄門的な勧善懲悪もの。数字がデカけりゃなんでもいいだろ感があって、二冊目はもう少し工夫して欲しかったかも。

 7点 Schuld「TRPGプレイヤーが異世界で最強ビルドを目指す2 ~ヘンダーソン氏の福音を~」(オーバーラップ文庫
思ったより早く2巻が出た。マニアックな題材だが設定や描写が丁寧で話の運びもしっかりしている。さすがTRPG畑というべきか。

 2冊。「PSYCHO-PASS3 」と「三体Ⅱ(上)」は読んでるのでしばらくは持ちそう。

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 開始時から-6kg。一か月で3kgと考えると、あと2か月で目標達成できる!……のか?

 

            ◇

 Today's Tune

 鈴木このみ「Realize」

https://www.youtube.com/watch?v=uaRnwnmqrws